第21章 高嶺の花
「斗真ちん、次授業あるんだよね?」
「そ、そうだよ……」
永夢くんは何かに気がついた顔になり、
「そー言えば、それオレのクラスの授業じゃん」
顔を顰めた。
「気まず〜……」
「い、行きますよね?」
わたしが慌てて声をかけると、永夢くんはにっと笑顔に切り替わった。
人懐っこくわたしに身体をすり寄せる。
「行く!オレ紗都せんせーの言うことならなんでも聞くし」
「そうですか……いい子いい子」
嬉しそうに両目を細める永夢くん。
その様子を見ていた斗真先生はため息をついた。
「……ほんと、おれの立場ないっすよねぇえ……永夢のこと結構長く指導してるんすけど」
わたしは苦笑いする他なく、眉を八の字に下げた。