第21章 高嶺の花
わたしが撫で付ける度に、永夢くんの蕩けた表情は濃くなる。
それでも身体を動かさないように、懸命に体勢を保っているのがいじらしい。
「まだ痕ついてますね」
永夢くんの首筋に残る、赤黒い点を指先で撫でる。
「あっ、あ……ン」
永夢くんは目に涙を浮かべた。
熱を纏った荒い息遣いで、吐き出すように声を出す。
「……オレ、マジで、そこダメなのッ……」
「い、痛いですか?」
わたしが指先を引っ込めようとすると、永夢くんにぎゅっと握られた。
永夢くんは涙目でフルフルと首を左右に振る。
「違、違くて、なんかもうっ、オレすっげえ興奮、して……せんせーに今痕触られてるの、めちゃめちゃ気持ちよくてぇ……」
上擦った声を洩らした 。
わたしは笑顔で永夢くんの頭を撫でる。
「可愛い可愛い」
「ん……せんせー……」
こちらに頭を預け、永夢くんは安心した顔を見せる。
よしよし、と髪を触り、瞳を見つめる。
従順にわたしの指示を待っている姿が何とも可愛らしい。