第21章 高嶺の花
「……まあ、今は利用中の生徒がいないからいいですけど」
わたしはふうと一息付き、斗真先生に目線を投げる。
「斗真先生、授業は?」
斗真先生はしどろもどろになりながらも、丁寧に答える。
「……今日は、次の授業は入ってなく、て……その、そういう日も一応早く来てるんで……」
わたしは目をぱちぱちと瞬かせる。
「斗真先生って本当に良い先……いや、悪い先生ですよね、学校でこんなことして」
わたしはくすっと笑った。
気まずそうな斗真先生の頬に軽く手を当てる。
斗真先生は弾かれたように顔を上げた。
わたしは悪戯っぽく微笑む。
「わたしと一緒」
「そっ、そんな、丸木戸先生はおれ達に付き合ってくれてるだけでっ、丸木戸先生は……そのっ……!」
「…………」
斗真先生の熱弁の続きを待っていると、わたしの肩口に頭がすり寄せられた。
顔を見ると、永夢くんの熱っぽい視線とぶつかる。