第20章 悪事千里を走る
「はっ……?んだよそれ……なんで、そんなの……え、俺、に……?」
「あ、分かります?流石お医者さんですね」
わたしは携帯式の浣腸器を手に、呟いた。
シリコン製のポンプ式洗浄器。
時雨先生は青ざめた顔で後ずさる。
「……マジ、か」
「はい、市販の薬剤の浣腸だと不健康ですし……これならお湯で洗えますから」
「も……もう、充分だろ……」
「だって今からあれを入れるんですよ?」
デスクの上のペニスバンドを指さす。
「奥まで綺麗にしなきゃですから」
わたしは笑顔で断言し、浣腸器から伸びるノズルを指先で触る。
「これ、解さないで入れたら結構痛そうですし……やっぱりちゃんと準備しないと」
わたしは時雨先生ににじり寄る。
「待っ……待てって……!」
「わたしの言うこと、何でも聞いてくれるんですよね」
「言った、けど……」
「時雨先生」
時雨先生はびくっと肩を震わせ、
「わ……分かっ、た……」
消え入りそうな声で答えた。
✱
「…………」
四つん這いになった時雨先生の尸口に触れ、拡げ、丁寧に弄る。
指を離した。
「うん、綺麗になってますね。まあ、多分元から大丈夫だったと思いますけど」
「そりゃ、そうだろ……滅多にねえだろ、んな事……」
時雨先生は元気の無い声で返す。