第19章 奇貨居くべし
「……っ、あ……」
甘い匂いが肺を満たしていく。
いくつもの匂いが混ざり合った、頭が痺れるような官能的な匂い。
俺にはよく分かんねえ香料の香り、少しだけする俺と同じ保健室の臭い……。
俺は浅い呼吸を繰り返す。
鼻先の息は熱く、頭が法悦でくらくらする。
俺の鼻先を包み込んだ白の布地を確かめるように、夢中で匂いを嗅ぐ。
「はァっ……はっ……」
下半身に手が伸び、盛り上がった自身を撫で擦る。
丸木戸の匂いを吸い込みながら、熱気を帯びた陰茎を指先でまさぐる。
にちゃっとした感触が指先にまとわりつき、濡れた劣情が糸を引いた。
「ふッ……」
背を丸め、輪を作った指で増長した昂りを扱き取る。
背徳的な快感が弥増しに押し寄せる。
「うぁッ……」
俺は小さく呻いた。
息が詰まりそうな程気持ち好い。
肌が紅潮し、心臓が脈を刻む。