第15章 嵐の前の静けさ
聖くんは乱れた制服を正し、静かに呟く。
「今すぐ教室に戻る気、しないんだけど」
わたしは何度も頷いて同意する。
「そっそりゃそうですよね、少し休みますよねっ?というかわたしがみんなに聖くんの病状の説明を……ややっぱり熱ですかねっ、わたし弁解してきますよっ」
挙動不審になるわたしを、聖くんは冷めたように見る。
「そんなの僕は誤魔化せるに決まってるだろ、どれだけ長い間いい子の猫被ってきたと思ってんだよ」
「そ……そうですか、大人ですね……」
聖くんは浅く俯く。
「……そんな事より、あんたもここにいろよ」
「で、でも、あの……」
その時、授業終了のチャイムが鳴った。
聖くんはうっとおしそうにわたしに言う。
「ほら、いいだろ」
「……はい」
置きっぱなしの教科書をどうしようかな、とか思いながら、わたしは聖くんとベッドにもつれ込んだ。