第12章 火に油を注ぐ
「……意地悪、っす、丸木戸先生……」
「ふふ、そうかもしれませんね」
わたしは口元を綻ばせて、斗真先生を見詰める。
「でもほんとに嫌だったら、わたしなんて簡単に振り解けたんじゃないですか」
「丸木戸先生を振り払ったりなんてできるはずないじゃないっすかっ……」
斗真先生は困り顔で、泣き出しそうに首を振った。
「座ってください」
便座に座らせ、
「あ……」
斗真先生の上着をまくった。
ぺたぺたと胸を触る。
厚い胸板はしっかりと張っていて、堅く逞しい。
鍛えられた大胸筋に、割れた腹筋。
無駄な脂肪が一切ない身体に嘆息する。
「いい身体してますね」
斗真先生は恥ずかしそうに目線を下げる。
「取り立てて鍛えてるつもりはないんすけど……」
「わたしなんて、簡単に滅茶苦茶にされちゃいそう」
わたしは苦笑いし、斗真先生の胸元に手を滑らせる。
斗真先生は驚きを見せたものの、黙ってされるがままにされている。
敏感な部分にわたしの手が近づいていくと、吐息を零した。