第2章 窮鼠猫を噛む
わたしは足を上げる。
ベッドのマットレスにどかっと座る。
両手をグイッと眼前に突き出した。
「ほら、やめてあげますから、これ取ってください」
「ぅ……は、い……」
永夢くんは背中を丸め、わたしのデスク上のペン立てからハサミを取り出す。
わたしの前に跪き、
「せんせ、手……触る、ね」
手を取った。
自分より大きな手が怖々とわたしの手を包み、不安そうにハサミを当てているのを見つめる。
軽い音と共に拘束が外れる。
わたしは立ち上がり、伸びをした。
「次馬鹿なことしたら蹴り潰しますね」
永夢くんはびくんと背中を跳ねさせる。
わたしは慌てて弁解する。
「別に、半分冗談ですよ!」
永夢くんの顔が引き攣る。
「半分は本気なんだ……」