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邯鄲の夢【NARUTO】

第20章 二十夜



「カカシさん───、私ッ…………」

「だが、オビト。お前には世界へ犯した今までの罪に対してきっちり報いてもらおうと思っている。奪ってきたもの全てを、お前の残りの人生の中で償うんだ。方法はなんだってある……。」

熱さの篭ったカカシの手が僅かに震えた。
オビトを見下ろす瞳は慈しみを孕んではいるが、そこには動揺が隠しきれていなかった。

「そしてこれは……俺からの裁きだ。あの幻術世界でお前は言ったな、俺が鎖羅とリンを重ねていると。全くその通りさ。だから……だからお前にも、この子を蔑ろにして欲しくなかったんだ。お前と鎖羅のこれからは、俺達が失ってしまったものを少しでも取り返す最後のチャンスだとは思わないか……。」


はたり、と手が離れた。
風にまう砂埃が地面を撫でる音だけが流れる。
そしてオビトは静かにゆっくりと息を吸い込んだ後、両の手指を組み合わせ胸の上に置いた。




「───外道、輪廻転生の術。」

あの日のペインの死に際が鎖羅の脳裏に過ぎった。
いや、という言葉が反射的に唇を破る。
その場にいる誰もが、彼がこれから死へ歩むことを分かっていた。

「生きて償うなど、オレにはなま易しい……。
世界を歩いた先々で、やはりオレにはお前達のような繋がりは出来なかった。……それもそのはずさ。オレ自身が、先生から受け繋ぐはずだった想いを断ち切ってしまったのだから。」


死に向かう覚悟か、消えかける命の灯火か。
オビトはかすかに呼吸を荒くして言葉を紡いでいく。

「確かに鎖羅は最後のチャンスかもしれないな……。だが、オレにはもう人を愛する勇気も守る資格もない。全てを奪ってきたオレが、鎖羅を失うことを怖がったり、愛するのは、許されることはでは無いだろう……。」



鎖羅はゆっくりと歩みを進め、オビトの横へ膝をつく。そしてクナイを取り出し、とめどなく溢れる涙に呼応して熱を持った首元へあてがった。


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