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邯鄲の夢【NARUTO】

第16章 亭午



オビトは目を閉じる。
そして心の中に刻み込む。

もう鎖羅は計画に必要のない駒だ。
コイツとはいつか必ず戦場で対峙する。
その時、オレの計画を初めて知り、……何故接触したかを知り、鎖羅は深く絶望するだろう。
思い知るのだ。オレとの離別の時だと。

オレには、リンさえいれば良い。

「……トビ、さん?」

「!!」

伸ばされた腕がトビの頭を貫いた。
そのまま、目の前で鎖羅の手はふわふわと浮いている。
このままでは神威空間に逃げることが出来ない。

「ぁ、れ……触れないで、す……」

「…………」

「夢……?ただの…………」

「……さあ」

鎖羅の手を掴み、トビは身体をくるりと回転させる。
微睡んだ鎖羅の瞳はトビの仮面を捉えるなり、薄く微笑んだ。

「じゃぁ、…も、すぐ、…現実、に、んッ」

トビは仮面をずらし、唇を重ねる。
鎖羅の熱い舌がトビの冷たい舌を溶かして、混ざりあっていく。
すぐにでもまた眠ってしまいそうな、ゆっくりで力の抜けている鎖羅の舌を優しく吸い上げる。
境目が分からないくらいに溶け合いながら、トビは掴んだ手を滑らせて鎖羅と指をからませた。

「ッ、ん、ふ、ッう」

鎖羅は与えられる熱に素直に身を委ねている。顔を離せば、くちびるは赤く染まり、月の光に照らされている。
そして、また目を閉じた。

トビの指から鎖羅の指がするりと抜けていった。
熱はまだ残っている。
トビは静かに仮面を元に戻し、時空へ消えていった。



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