第14章 雷雨
二日が経った。
いや、1週間かもしれない。
ただこの窓から眺める空は、幾度となく明と暗を繰り返していたことだけは分かっている。
「………」
医療忍者が病室の外で苦い顔をしている。
同じように眉根を寄せ、悲痛な表情を浮かべている綱手に、声を潜めて話し始めた。
「保護されたのはおよそ五日前、大きな爆発があった修練の谷の調査に踏み込んだ時でした。」
「私が痛手を負っていたばかりに……」
顔を覆い、綱手は背中を丸める。
「鼻骨骨折、左腕と左鎖骨の閉鎖骨折、大腿骨頚部には両方ともヒビが見られます。あとは全身に及んだ打撲、拘束されていた手首付近の創傷、Ⅱ度の会陰裂傷、特に腟内の炎症が激しいです。」
医療忍者は数枚の紙が綴じられたバインダーを綱手に手渡した。
「……ひどい」
「…御覧になられたように、今述べたものだけではありません。既に避妊手術は施しましたが、日が経ってしまった為に可能性はゼロとは言いきれないところです。」
「やった奴は何処なんだ」
バキン、と木製のバインダーが割られた。
さすが初代火影の孫と言わんばかりの殺気に、医療忍者はあわあわといさめる。
「付着していたものも含め、体内に残っていた精液をいま鑑定にかけています。」
「分かった。結果が出次第直ぐに私から出向いてやろう。」
「五代目様、お言葉ではありますが、貴女様もつい数週間前に攻撃をうけました身であります。出来れば安静に……」
「馬鹿者!私は怪我の治りは早いんだ!それより一人の少女を集団であんな目に遭わせたやつらを野放しにしといてどうする?!」
カタン、と点滴のホルダーが揺れた。
綱手はハッとして病室内の鎖羅に駆け寄る。