第5章 〜知りたい〜
『あーぁ、逃げられた』とフッと笑う家康。
(やっぱり、俺のこと覚えてた)
そう、確信し、嬉しそうな穏やかな
笑みを浮かべていたが
ブーブーと家康の携帯が鳴った。
着信の相手の名前を見て、一気に
夢見心地から、現実に引き戻される家康。
『もしもし』
『あー、元気だよ。小夏は?』
『そー、あんま無理しないで』
『うん、分かってるよ、また会いにいく
じゃ、またね』
そう言って、電話を切る家康。
酷く、切ない表情になった。
一方、逃げるように自分の部屋に戻った桜奈。
ドキドキは、続いていた。
(あーっ、やっぱり、しぃちゃんが言ってた
通りだ。このドキドキは、徳永さん限定で
起こる。
まだ好きかどうかはわからないけど
間違いなく、私は、徳永さんを意識してる
でも、恥ずかしいからって目を合わせ
ないのは失礼だよね・・・)
桜奈は、自分の頬を両手でパシッと
叩くと『よし!』(きちんとしよう!)
っと言って着替えて夕食の準備に向かった。