第24章 〜番外編その1 〜
『分かれば、宜しい!』と
ドヤ顔する詩織に
『でも、まさか、双子ちゃんとは
思わなかったー。』
『私もだよ。でもやっぱり我が子は
可愛いよ。』
『そうだよねー』と自分の少し目立ってきた
お腹をさすりながら、優しく微笑む桜奈。
(あー、もうお母さんの顔になってる)
嬉しそうに微笑む親友の横顔を見ながら
自分まで嬉しくなる詩織。
『ねぇ、昔、パンケーキ屋で恋バナしてる
時にさ、初恋は実らないって私が言ったじゃない
覚えてる?』
『うん、覚えてる。私も家康さんに小夏さんが
いるって知った時には、しぃちゃんの
言った通りだって、凹んだもん。』
と、懐かしむように、振り返る桜奈。
『でもさ、私達ってよくよく考えたら
どっちも初恋実ったってことだよね。』
『うん、確かにそうだねー』
『出会うべくして、たった一人の人に
出会って結ばれた!
しかも、初めて恋した人だよ。
宝くじが当たるよりラッキーだと思わない?』
『あはは、しぃちゃんそれも言ってたねー
うん、そうだよね。ずっと側にいて欲しい
と思えて、思ってもらえる人に出会うって
奇跡みたいなものかもね。』
『でしょ!お互いに幸せで何より
ですわ。』とクスクスする詩織。
二人の前に急に影ができて
ポタポタと雫が滴る。
顔を上げると
『しぃー、楽しそうに何の話だ?』と
凛桜を抱っこした信長と
『桜奈、ちゃんとこまめに
水分とってる?』と優月を抱っこした
家康が立っていた。
(相変わらずのイケメン兄弟!)
『えー、そりゃ親友とする話は恋バナに
決まってるじゃない、ほら凛桜、優月おいで
体冷えちゃう』とタオルを広げて
待ち構える詩織。
『大丈夫だよ、ちゃんと言われた通り
水分はこまめにとってるよ。はい家康さんも
はい。お義兄さんも』とそれぞれにタオルと
ペットボトルを渡す桜奈。
我が子をタオルでふいていたが
凛桜が『行くー』と海の方を指差す。
釣られる様に『行くー』優月も指差した。
『はいはい、おいしい飲んだらまた
行こうね!』とテキパキと双子に
水分を摂らせる詩織。
楽しそうで、とても幸せそうで
笑顔は輝いて見える。
そんな詩織の笑顔をこの先もずっと
隣で見ていたい、そう思う信長だった。
ーー終ーー
次回から政宗・愛花編です。