• テキストサイズ

また、恋してくれますか。

第23章 〜鴛鴦の契り〜


涙目で、鷹介の待つ車へと乗り込んだ桜奈。

どう声をかけてやればいいのか
分からないまま、切ない表情をする鷹介に
気づいた桜奈は

赤くなった目蓋を更に擦り、溜まった涙を拭うと
『パパ、お待たせ。じゃ、帰ろっか。』
と、笑ってみせた。

『そうだね。帰ろう・・・ママと栞に
お土産買って帰ろう!ケーキにするか?
なんでも好きなやつ買っていいからな!』

『ほんとにぃー!やったー!!
何にしよっかなー』
無理して、明るく振る舞っていることは
分かっていても、父として慰めてやれる
のは、好きなケーキを買ってやるくらいしか
思いつかなかった。

ケーキ屋に立ち寄り、ショーケースの
色とりどりのケーキを眺めながら
どれにしようかと迷う桜奈。

そんな姿は、幼い頃となにも変わらなかった。

(あんなに、小さかったのになぁ・・・
知らない間に大人になってたな。)

嬉しいような、すこし寂しいような
気持ちのせめぎ合いの中
愛しい娘を優しい顔で見つめる鷹介。

『よし!決めた!
すみません、えっとぉ、これ2つと
こっちも2つ、あと、あれと、これを1つずつ
でお願いします!』

『そんな食べられるの?』

『大丈夫よ!パパとママは、1つずつ
私とお姉ちゃんは2つ食べる!
家康さんいないし、心おきなく
ケーキいっぱい食べられるし』と
ニッと笑う桜奈。

『えー、家康君いても、いつも通り食べて
なかったっけ?』

『そんなことないよー、がっついてるなんて
思われたくなかったから、これでも女の子
らしく、遠慮してたんだよー。』

『ははは、そうなんだ・・・(あれで?)』
苦笑いしか出てこない鷹介。
/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp