第21章 また、恋してくれますか。
『ほんとにー!徳川家康の末裔なんでしょ
うわぁー、会いたかったのよね。
握手してもらっていい?』
と、ニコニコで自分の洋服でスリスリ
と手を拭くと、家康に握手を求め
手を差し出した。
『はぁー』と呆気にとられながら
手を差し出すと
以前、家康が徳川家康の末裔だと知った時の
桜奈と同じテンションで
ニッコニコで
握った手をぶんぶんと振る愛花。
(あー、まっ、想定内だから、我慢だな)
二人が握手する姿を今にも舌打ちが
聞こえそうな顔で眺める政宗。
政宗の母から料理を教わった愛花。
一緒に、歴女の猛烈講義も受けていた。
大体は、『伊達政宗はね〜』と言う
政宗の武勇伝の話が主だったが
盟友だった、徳川家康の話も時々混じっていた。
豊臣秀吉亡き後、どちらが天下を治めても
おかしくなかったと言われていた伊達政宗。
政宗の母からすれば、伊達政宗は
遅れてきたヒーローそのものだった。
タイミングが悪かったことや
領地が遠かったから、天下に後一歩手が
届かなかったのだとファン目線で熱く
語っていた。
愛花は、その伊達政宗を抑えて天下をとった
徳川家康の方が気になり、桜奈同様
調べているうちに徳川家康隠れファンに
なっていた。
政宗の母も徳川家康は政宗の次に好きな
武将であったため、愛花が政宗の実家に
新作の試食を持って行くと
政宗そっちのけで
女同士、武将談義に花が咲く。
高校時代、何度か政宗の家に遊びに行った
ことがある家康も政宗の母のパワフルな
感じに、政宗が歴女被害と言いたく
なるのも分かる気がした。