第20章 〜それぞれの道〜
『愛ちゃん、お帰りー!今開けるよ』
と作り笑顔でニコニコする政宗に
(えっ?政宗さんと店長、同棲してるの?)
と桜奈と詩織は驚いた。
すると、画面越しの愛花は
『初めて、部屋にきた客に
なんて出迎えの仕方してんのよ。』と
ため息混じりで答えた。
『あーぁ、相変わらずつれないねぇ。
愛ちゃんは。まぁいいや。いらっしゃーい。
待ってたよー』とオートロックを解除した。
(まっ、来てくれたし、作戦はとりあえず
成功だな)と心の中でほくそ笑む、政宗。
愛花が部屋に入ってくると
『店長!待ってましたー』とニコニコの桜奈。
パティシエを目指す桜奈にとっては
パティシエでありながら
将来は自分の店をもつ為に経営も勉強
しながら颯爽と働く愛花の姿に
密かな憧れを抱いていた。
キャリアウーマンとして生きて行くなら
愛花のようになりたいと思っていたのだ。
『桜奈ちゃん、詩織ちゃん
こんばんは。今日もバイトご苦労様でした!
いつも、ありがとうね!』とニコッとする愛花。
愛花の視線は、家康を捉え
『こんばんは。初めまして。坂上と申します』
と先に挨拶すると
『初めまして、政宗の高校からの同級生の
徳永です』と家康も挨拶をした。
『あー、もしかして、家康君?
政宗が自分と同じく、歴女被害の友達が
いるって言ってた人、たぶん貴方のことよね?
今、桜奈ちゃんちに下宿してるって言う』
と、パッと桜奈をみると
桜奈は無言でコクコクと頷いた。
『歴女被害者の会は、政宗が勝手に
言ってるだけですけど、はい。
上杉さんちでお世話になってます。
徳永家康です。』