第20章 〜それぞれの道〜

『そうか・・家康君は血筋だから似てても
おかしくはないかもしれないけど、桜奈
まで似てるって、まるで生まれ変わりみたいで
不思議だよな、ハハハ』と笑った鷹介だったが

家康と桜奈とそして、栞は
冗談ではない可能性を感じてしまう。

特に栞は、生まれ変わりだと断言された方が
よほど納得がいく気すらしていた。

シーン・・・
静まり返った場の空気に
『あれ？冗談のつもりだったんだけどな・・？』
と焦りつつ苦笑いする鷹介。
（なんで、みんな真顔なの？怖いよ・・）

『たぶん、冗談に聞こえないくらい
似てるんじゃないの。
（顔見て、泣き出すくらいだからね）
本当に不思議だけど・・・。

そう言えば、徳川家康さんってどんな
感じの方なの？さっき約束果たしたって
言ってだけど、やっぱり立派な方なのでしょ？』
と、鷹介をフォローしつつ桜奈が
家康の話をもっと聞けるように
口添えする千里。

栞から出た言葉は、桜奈には
衝撃的だった。

『ああ家康？家康の性格はねぇ
一言で言えば天邪鬼って言うのかしら？
まぁ、とにかく、いちいち可愛いくないの！』と
何かを思い出しているのか
うんざり顔で悪口が出た。

栞の言葉を真に受け
ガ〜ン！とショックを受ける桜奈。
（ウソ！うんざりするくらいの性格の
悪さなの？そんな、信じられない！！）

『えっ、お姉ちゃん！徳川家康だよ！
偉人だよ！泰平の世を作った人だよ！
穏やかで、優しくて心が広くて頭のいい
人なんじゃない？そうだよね？そうでしょ？
そうに決まってるよね？』
栞に詰め寄るように、問い正す桜奈。

（私の、尊敬する人がそんなはずないよ！
冗談だよね？揶揄ってるだけ？）