第19章 〜祈り〜

信長と栞の時を超えた出会いに
二人の意志がワームホールに
影響を与えている可能性があると

かつて、佐助は仮説を立てた。

今回、現代へ戻ったのは
お互いにお互いの気持ちを見誤り
信じきれず、自分の中の不信に
囚われた結果で、いわば現代への
強制送還のような感じがしなくもない。

（でも、信長様が迎えにきてくれて
離れたくないって、あんなに強く願った
んだけどな・・

それでも、現代に戻されちゃった・・

手紙と荷物を送った時とは違った。
前は、信長様が抱きしめて、踏ん張って
くれてたから飲み込まれなかったのかな？）

気持ちは同じだったはず、でも状況が違ったから
現代に戻されたのだろうか？

色々な事を思う栞だったが
きっと全ての事に意味があり
繋がりがあるのだろう。
漠然とそんな考えも浮かんでくる。

（病院で目が覚めた時はなんで！って
途方に暮れたけど・・・
でも、帰ってこれて、良かったのかも・・
気づかされたことが、沢山あった・・・
私に妹が出来てたなんて思ってもなかったしね。

今度は、こっちのみんなにちゃんと
お別れして信長様や凛桜のところに
帰って行ける気がする・・）

テーブルや椅子をそっと撫でながら
再び、この家から嫁いでいくような
気分になっている自分を
ふっと笑う栞だった。