第17章 〜他生〜
『えっ!もしかして、一昨日の救急車って
桜奈だったの?』と、一昨日の夜
近所で救急車が停まったことを、祖母や母と
何処の家の人だろうと話たのを思い出し
詩織は尋ねてみた。
『あ、それは、うちのお姉ちゃんで・・・』
『えっ!お姉さん帰ってきたの?
なんで?救急車で運ばれたの?』
桜奈は、一刻も早く
信長のことを詩織に伝えたいのに
詩織も、びっくり話ばかり桜奈の
口から出てくるので、質問せずには
いられなかった。
桜奈は、我慢出来ずに
ガシッと詩織の両腕を掴むと
これまで、見たことのないキリッとした
真剣な顔をしながら
『いい、しぃちゃん。よく聞いて。
細かい報告は、後で全部する。
今は、それよりもっと大事な話。
しぃちゃんを海で助けてくれた人が誰か
わかった。しかも、その人は、家康さんの
お兄さん。名前は、小田信長先生。
小田総合病院で働いてる』
今まで見たこともない桜奈の圧に
若干、仰反るようにしながら話を
聞いていた詩織。
『海の人?・・小田信長?・・えっ?あっ・・
えっーーー!』人は、びっくりすると
これほど目を見開くのかと言うくらい
切れ長の涼やかな瞳を
まんまるくし、驚く詩織。
『うそっ!ほんとに?!!』
両手を重ねるように、口を覆う詩織は
明らかに動揺していた。