第17章 〜他生〜
桜奈も家康も栞が
戦国時代に行っていたことが本当ならば
自分達が、それぞれ誰に似ているのか
自ずと理解したのだった。
((お姉ちゃんの(栞さんの)言っていることが
本当なら、家康の奥さんに(徳川家康に)
私が(俺が)似てるってこと?))
桜奈も家康も同じことを
同時に思い、顔を見合わせた。
あり得ない事だと、信じられない気持ちと
無意識のうちに、お互いに一目惚れし
なぜ、初めて出会った瞬間
ずっと会いたかった人だと思ったのか。
一瞬だがその理由が腑に落ちた
気がした二人。
すぐさま、その無意識は
生まれ変わりなんてあり得ないという
思考によって、否定され、かき消された。
『もう、ほんとにびっくりしたわよ。
急に泣き出すから!具合が悪くなったのかと
焦ってしまったわ。』
困った顔で心配そうに見つめる千里。
『でも、不思議よね?
桜奈は、ともかく家康君の名前まで
どうして、知ってたの?』と千里。
それは、桜奈も家康も思っていたこと
雨の公園で、初めて出会った栞がどうして
自分の名前を知っていたのだろうかと
家康はずっと疑問に思っていた。
そして、さっきの栞の言葉から
自分が本人と間違えられるほど
『家康』と言う名の人物にそっくりなのだと。
『あのさ、ママ。桜奈ちゃんが
私の妹ってほんと?』と栞は
まだ、どこか納得できないように
おずおずとしながら、千里に尋ねた。