第2章 〜会いたい〜
男に関わることで、こんなに残念そうな
顔を見るのは初めてだった詩織は
桜奈が今どんな気持ちでいるのか
手に取るようにわかる気がした。
普通の人なら、あっ!イケメン素敵
からの、なんだ彼女持ちか・・・で
スルーできてしまうようなことだ。
けれど、桜奈にとっては違う。
真面目で、一途な上に、重い
恋愛観念を持つ桜奈が
そう簡単に異性に興味を持たない
事は、詩織が近くで見てきて
一番分かっていた。
そんな桜奈が初めて興味を
持ち、初恋っぽい、それが
2回目の再会で失恋っぽい状況に
なっていることが、やりきれなかった。
一刻も早く桜奈の視界から
あのイケメンを遠ざけ、今回のことは
無かったことにしたい詩織は
桜奈の鞄を持ち
『早く出よう!』と促した。
キョトンとする桜奈だったが
詩織の勢いに流された。
『待って、しぃちゃん』と
追いかけるように会計を済ませると
二人は店を出て駅へと向かう。