第2章 〜会いたい〜
『桜奈?桜奈?』と
詩織に呼ばれ、ハッとし
『えっ何?しぃちゃん?』と
自分の動揺を悟られないよう隠したが
親友の前では、無駄だった。
『桜奈、大丈夫?
すごい、凹んだ顔してるよ?』
『あははは、い、嫌だなー
なんで?そんな、凹むわけないよ。
たった一回すれ違っただけの人だよ?
何処の誰かも、全くの知らない人だよ。
そんな、凹むほどの関わりなんて
何にもないのに。
ああ、やっぱりイケメンだから
彼女さんくらい普通にいるんだなって
思っただけだよ。』と焦る桜奈。
『でもさ、桜奈、凄く
がっかりした顔してたよ。
もしかして、既に好きになってたとか?』
と詩織。
『いや、いや、私に限ってあり得ないし。
しぃちゃんが言うところの、結婚対象
リサーチすらできない相手なのに
好きになるなんて、そんな、ない、ない!』
と、全否定する桜奈。
(そうだよ・・・ただ、すれ違っただけの
そんな、何処の誰かも分からない人を
好きになるなんて、あり得ないよ!)