第16章 〜慟哭〜
家康の看病の甲斐もあり
桜奈の熱は、夕方にはすっかり下がり
体調もほぼ良くなっていた。
病院に行っていた千里は、鷹介と交代し
着替えを取りに、一旦戻ってきた。
『ただいまー』と千里。
『お帰りなさい』『お帰りなさいママ』と
出迎える家康と桜奈。
『お姉ちゃんの具合は大丈夫なの?』と
尋ねる桜奈。
『あなたこそ、熱は大丈夫なの?
寝てなくて平気?』と家康から連絡を
受けていた千里は桜奈の
おでこに手を当て、熱を確認した。
『私は、もう大丈夫だよ。家康さんが
つきっきりで、看病してくれたから』
と家康を見てニコッとする桜奈。
『家康君、ありがとうね。助かりました。』と
頭を下げる千里に
『あっ、いえ、いえ。俺は大したことは
してませんから。』と恐縮する家康に
『家康さんにお粥も作ってもらった。
美味しかったよ。
ママの方こそ休めてないでしょ?大丈夫?』
少し疲れた顔をしていた千里だったが
ニコッと微笑むと
『私は、大丈夫よ。17年振りに
やっと会えたんですもの寝る時間も
惜しいくらいよ。』と桜奈の
頭を撫でた。
一息つく為に、3人でテーブルを囲むと
桜奈がお茶をいれてくれた。
『ありがとう』そう言ってお茶を飲み始めた
千里は『はっー、美味し』とホッと一息
ついた。