第13章 〜真実〜
一方、桜奈も満たされた感覚の
中に浸りながら、恥ずかしそうに
俯き加減で歩いていた。
(また、やらかしちゃったな・・・
でも、凄く安心する。恥ずかしいけど
図々しいけど、手を離さないでいて欲しい・・・)
ただ、時折、ギュッと力が入る感触に
家康が何を思っているのか気になっていた。
家康の気持ちは小夏にある
のだから、自分に向くはずも
興味もあるはずもない。
かと言って、さっき家康がこじつけた
歩行介助と言う理由を、鵜呑みにするほど
桜奈も鈍感ではなかった。
だから、尚更、今のこの状況の
理由が分からなかった。
でも、理由を問えば、きっとこの手は
振り解かれてしまう。そうなれば
手を繋いで歩くことなど、二度とはないと
思うと、手を振り解かれる寂しさが
勝ってしまい、聞けなかった。
家康が手を離すまで、もう少しの時間だけ
ズルイ自分を見逃して欲しい
そう願うような気持ちで歩いていた
桜奈だった。