第1章 〜幸せだった?〜
祖父でもある鷹山にも似ていて
利発でありながら、病弱な母を労わる
心優しい信康。
家康と信康は、いつも桜奈を
取り合った。
『母上、信康は、大きくなったら
母上をお嫁さんにしとうございます。
宜しいか?』と桜奈の前に正座し
真剣な眼差しで母にプロポーズする信康。
『ダメだ、母上は、父のお嫁さんだから
信康にはやらん!絶対にだ!
もし、どうしても、母上をお嫁さんに
したいなら、母上を守れるように
父より強くならなくてはな。
武術も弓も囲碁も。後は、勉学と医術も
父を超えなくては、母上を信康には
やれないけど、如何する?』とわざと
桜奈を抱きしめる家康。
小さな手で、2人を引き離そうと
しながら『信康は、ぜーーったい父上より
強くなってみせます!そして、母上を
お嫁さんにして守ってみせます!』
父と同じ翡翠色のキラキラした瞳で
父に挑むように言う信康。