第12章 〜終恋〜
クスクス笑う光成を前に
じわじわと、言葉の意味を理解していく
桜奈は、あっと言う間に
ゆでダコ並みに顔が赤くなった。
『あわ・・、わたし?、あわ・・何で?』
もはや、ビックリし過ぎて、会話として
成り立ってない言葉を話す桜奈。
『もう、ほんと敵わないね、何でそんなに
可愛いいんだか』と、笑いを堪えながら
照れる光成。
可愛いと言われ、そろそろ頭から
煙が出てきそうな桜奈は
ちょっとしたパニックだった。
しかし、ニコニコしていた光成の表情が
一瞬、険しい顔になり視線が、桜奈の
背後に向かうと
不意に背後から
突き刺さるほど、冷たい声がした。
『へぇ、すごいモテモテじゃん!・・・』と
その声に、後ろを振り向くと
怖い顔をし、冷ややかな視線を送る
家康がいた。
(えっ、何で家康さんがいるの?聞かれてた?)
ガタッと、椅子を鳴らして立ち上がる桜奈。
驚く桜奈は家康を見つめたまま
動けなかった。
家康は、それだけ言うとスタスタと
自分の席に戻った。
立ち上がったまま、その姿を目で追う桜奈は
家康の戻った席に、綺麗な女の人がいるのが
見えた。その女性は桜奈と目が合い
笑顔をみせたが、その後家康に何かを
話かけ、楽しそうに笑っていた。