第12章 〜終恋〜
『ふふっ、そんな事気にしてたんだ』と
笑う光成。
『えー、気にするよ。好きな人に誤解
されたら傷つくもん』
『だって、それは上杉さんだって一緒でしょ?
僕と一緒にいるところ見たら、好きな人に
政宗さん?が誤解したみたいに、誤解される
かも知れないよ』
『あぁ、私は大丈夫よ。誤解されようが
ないから。その人にはちゃんと彼女以上の人
がいるからね』と無頓着に言う桜奈。
(やっぱり、好きな人いるんだね・・・)
『へぇ、上杉さん、好きな人いるんだね』
自分が、何の気なしに好きな人がいることを
言ってしまったのだと、光成に言われて
初めて気づいた桜奈は慌てた。
『あはは、ほら、よくある片想いだよ。
彼女いるって知ったのは、好きになった後で
だから、その人とどうこうなりたいなんて
考えてないよ、むしろ、早く忘れなきゃって
思ってるとこ』と、あわあわと説明する桜奈。
(彼女いる人好きになるって
どうなの?って思うよね、きっと)
『で、岩田君食べたいもの決まった?』
慌てて、話題を変える桜奈。
『あ、うん。僕はこれにしてみるよ』
(好きな人は、付き合える可能性の
低い相手ってことか・・・それなら僕にも
チャンスはあるのかな、上杉さん。)
告白は、もう少し距離が縮まってから
そう思っていたが、この先、桜奈に
意識してもらうことすら、このままでは
難しいことだけは確信した。
そして、同時に少しでも意識してもらうために
一つの決意もした光成だった。