第12章 〜終恋〜
一緒に帰りながら、詩織は
『ねぇ、桜奈。岩田君と何で図書館
行く約束したの?』と聞いてきた。
『あー、ほらこの前、図書館で勉強会したあと
勉強教えてもらったお礼をするって言ってた
のに、岩田君塾だからって、お礼してなかった
でしょ?その話の流れで、図書館に付き合う
約束したの』と桜奈。
『ふーん、そんなんだ。』
(徳永さんと図書館行った時
桜奈の気持ちに気づいたみたいに
見えたんだけどなー。その後、グイグイ来る
感じも無かったのに・・・やっぱりまだ
諦めきれないのかな?婚約者いる相手よりは
よほどオススメだけどね)と詩織は思いながら
『いつも思うけど、岩田君って同級生とは
思えないくらい、落ち着いてるよね』と
詩織は、桜奈の岩田君に対する気持ちに
探りを入れた。
『うん、私もそう思う。一緒にいて
落ちつく感じがする。穏やかで優しくて
頭いいのに、謙虚だし』と、光成を誉めた。
『まぁね。人間ができてる雰囲気あるよね
時々、天然発揮してるけど。それこそ
桜奈の結婚対象リサーチで言ったら
将来旦那さんにするなら、優良物件じゃない』
と、それとなく光成を、推してみた。
『うん、そうかもね。凄く将来有望株
だと思うけど、岩田君あんまり恋愛とかに
興味なさそうだよね?きっと、きちんと
した人と将来はお見合いとかで結婚
しそうなタイプだと思うなー』と
言う桜奈の言葉を聞き
(岩田君も気の毒に・・・
恋心も下心も、1ミリも届いてないじゃない。
無自覚と言う名の鉄壁、恐るべし!)と
桜奈の光成への印象を聞き
光成に同情した。