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また、恋してくれますか。

第12章 〜終恋〜


何かあったのかと考えを巡らせたが
図書館で家康に向ける桜奈の
眼差しが思い浮かんだ。

そして、今の桜奈の気持ちを救って
やれるのは、自分でないことは分かっていた。

それでも、好きな相手が辛そうな姿を
するのは、居た堪れない。

今すぐ、そんな奴やめて、僕と付き合ってよ
勢いに任せ、そう言ってしまいたく
なりそうな自分をグッと堪えるために
握り拳に力が入る光成。

中庭を見下ろしながら
(でも、まだだ。まだ、君には届かない。)
そう思っていた。
それから何事も無かったように
教室へと戻っていった。

放課後、気分転換に新しい本を
探しに図書室に行った桜奈は
光成と出くわした。

『上杉さんも来てたんだ』と
声を、かけられた。

『あっ、岩田君も、新しい本?
そう言えば、図書室来るの勉強会以来かな。
勉強会のおかげで、なんとか乗り切りました』
とニコッとする桜奈。

『いやいや、こちらこそ。徳永さんに
勉強教えてもらえて、助かったよ。
徳永さんは、元気?また、機会があれば
勉強教えて欲しいなと思って。あっ、ごめん
上杉さんの家庭教師なのに図々しね』
と、苦笑いする光成。

『そんなことないよ。徳永さんに聞いとくね!
あっ、そうだ!私、勉強教えもらった
お礼を光成君にしてないね。また今度って
言ったままだった!何か食べたいものとか
あればご馳走するよ?リクエストある?』

と、期末テスト前後自分の事でいっぱい
いっぱいだった桜奈は、光成にした
約束を忘れていたことを、申し訳なく
思いながら、尋ねたのだった。
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