第2章 〜会いたい〜
ガタッと椅子が鳴り、立ち上がった詩織
『あっ、いや、その・・・徳川家康って
生涯、奥さんだけを愛して、側室とか
いなかったんですか?』
(あーっ、私、何て質問してんだ?
桜奈の家康好きがあるから
生涯、妻だけ愛したって分かったら
桜奈が、喜ぶかと思って
つい変な質問しちゃったけど・・・)
『小野寺さん、いい質問ですね』
黒縁眼鏡を中指でクイッとあげると
質問に答えてくれた。
『徳川家康には、生涯で11男5女に
恵まれ、側室は20人近くいたと言われて
います。
しかし、正室であった桜奈との
子供は、幼くしてなくなりました。
正室であった桜奈も子供を亡くしてから
数年も経たないうちに亡くなっています。
それでも、子だくさんだったからこそ、
御三家と呼ばれる尾張、紀州、水戸から代々
徳川家康の血筋が将軍になるよう計算の上で
子供を増やしていったと言う説もあります。
ただ、側室はたくさんいましたが
生涯、桜奈以外に名実ともに正室と
呼ぶ存在はいませんでした。
それぐらい桜奈への想い入れと
執着はかなりだったと言う文献もあります。』