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また、恋してくれますか。

第11章 〜別れ〜


クッションに顔を埋めながら桜奈は
(酷いよ、私のファーストキスを
あんな、寝ぼけて奪うなんて・・・
せっかく、終わりにしようって必死なのに
人の気も知らないで!!)
プツンッと何かが切れた桜奈は
クッションをぎゅーッと握ると
今度はメラメラと怒りが湧き上がっていた。

(いいや、こんなのファーストキスなんて
認めない!ただの事故!絶対認めない!
誰が何と言おうと、断固キスなんかじゃない!)

そう言いながら、ドスドスとクッションを
グーで、叩いて八つ当たりした。

でも、どんなに事故だと思おうとしても
クッションへの八つ当たりを止めると
涙が勝手に出てきた。

好きな人に、こんな形でされたキスは正直
ショックだった。けれど、涙が出るのは
ショックだけだからではなかった。

どんな形であれ、好きな人としたキスに
ドキドキし、微かにでも嬉しいと思っている
自分が情けなかったのだ。

諦めなきゃならないのに
大切な人がいる相手なのに
そんな気持ちになる自分が
卑しく浅ましい人間のような気がしてくる。

蓋を閉め、とじ込めようとしている気持ちが
暴れ出し溢れてしまいそうで怖くなる。

諦めろと必死に自分にいい聞かせ
何事もなかった『普通』に戻し『普通』を
装うのは、ただただ苦しくて、切ないだけに
涙が勝手に溢れてしまうのだった。

(なんで、好きになんてなっちゃったのかな
せっかく、引っ越す日まで楽しく過ごして
いい思い出の恋で終わりたかったのに・・・

今日の家康さんは、酷いよ・・やっと、少し
普通を装えるようになってきた時に・・
なんでまた、気持ちを掻き乱すことするのよ
酷いよ・・)

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