第11章 〜別れ〜
何が起きているのか、夢と現実が
曖昧な状態で、動揺している家康。
『もう、いい加減、離して下さい!』と
身体を引き剥がそうとしている桜奈を
抱きしめている自分に更に混乱した。
パッと手を離すと
桜奈は家康からすぐに離れ
後ずさった。
『あれ?俺、寝てた?』と
焦る家康。自分の目尻にうっすら
涙がたまっていたのを感じ
目をこすった。
『家康さん、寝ぼけすぎです!』と
手の甲を唇に当て、真っ赤になりながら
怒りと悔しさの混じった表情で
家康を睨む桜奈。
『夕飯できましたから!』と
くるっと向きを変え部屋を出ていった。
(あれ?俺何してた?懐かしくて
胸が苦しくなるような夢見てて
夢の中で誰かとキ・・ス・・!!)
サッーと、青ざめて、頭を抱える家康。
(もしかして、俺、寝ぼけて桜奈に
キスした?えっ、マジで?いやいや
あり得ない)自分が寝ぼけていたとは言え
桜奈の表情から、何かをやらかした
ことだけは分かった。
(抱きしめただけでも大問題なのに
もし、間違ってキスでもしていたら・・)
///かぁっー///
(まずい、怖くて聞けない、合わす顔がない)
家康は、ベッドに座ったまま、真っ赤な顔で
口を抑えた。