第11章 〜別れ〜
(でも、いっそ嫌ってくれた方が
俺は、楽になれんのかな・・・)
桜奈への想いを自覚してしまった今
自分勝手な想いだとは分かっているのに
桜奈が他の誰かのものになるのかと
思うと、湧き起こる嫉妬心に
自制が効かなくなる。
そのせいで、意地の悪い言い方しか
できない自分が情けなくなって行く。
部屋に戻って、ベッドにドサっと
寝転びながら、手の甲を目に当て
隠しながら、自分と向き合う家康。
(もう、いい加減にしないと・・・
中途半端な気持ちを持ってたって
周りをただ、振り回して傷つけるだけに
なる。)
そう思いながら、今日小夏会って交わした
言葉を思い出していた。
ーー数時間前ーー
食事と買い物に付き合う約束を
していたが、先週は家庭教師の
バイトが入っていたので
今日、会うことになっていた。
小夏から連絡が入り
小夏を迎えに行き、伯父さんと伯母さんに
挨拶してから二人で出かけた。
いつもはお抱えの運転手が
運転する車で、用事を済ませている小夏。
長時間でなければ、松葉杖は使わず
歩けるのだが、怪我をしてからと
言うもの、周囲が過保護すぎることに
有り難い気持ちはあるが、少々
気疲れもしていた。