第10章 〜距離〜
『もちろん、桜奈の気持ちが
一番大事よ。でも、やっぱり後悔は
して欲しくないじゃない?
ましてや、重たい恋愛感の桜奈の
ことだもん。引きずったりしたら
次の恋なんて出来ずに、嫁に行かなそうだし』と
ペロっと舌を出し揶揄う詩織。
『いや、だから嫁には行くよ!
お見合いしてでも、なんでも!』と
さっきまで、涙目だった桜奈だが
力強く言い放つ。
『相変わらず、結婚願望は強いのよねー
それなら、尚更、ちゃんと終わらせないと
私みたいに次に進めなくなるよ。
それに、砕け散っても桜奈には
スイーツ巡りが待ってるよ。約束したでしょ?
もちろん、私の奢りで!
だから、きっちりぶつかって砕け散っても
私が思いっきり慰めてあげる!
スイーツ資金準備もしとく』
と、ニヤッとする詩織。
『ははは、砕けるのは嫌だけど
スイーツの為なら、やれるかも!』
と小さく、ガッツポーズをし
『しぃちゃん、ありがとうね!』
と、満面の笑みを詩織に向けた。
(なんだろうねー、この励ましてるこっちが
癒される感じは・・・)
『さて、そういうことなら私も
スイーツ資金作る為にバイトしようかなぁ!』
『ほんと!?しぃちゃん!じゃ、一緒に
バイトしようよ。政宗さんに聞いとくから』
『うん、じゃ聞いといてもらっていい?
今年の夏休みこそは、彼氏作ってー!と
思ってたけど、桜奈とバイトの方が
楽しいかも!もしかして、バイト先に
イケメンいるかも知れないし!
よし!気合いいれていかなきゃ!』
と、張り切る詩織だった。