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また、恋してくれますか。

第10章 〜距離〜


抱きしめたまま
どれくらい、そうしていたのだろう。

やっと身体を離したが、桜奈の目は
真っ赤になっていた。

『たぶん、私酷い顔になってますよね。
どうしよう、ママに心配されるな・・・』
と、また涙を拭う桜奈。

切なそうな桜奈を放ってはおけず
『あっ、じゃ、あそこの公園で
少し休んで、帰ろう。冷たい飲み物で目を
冷やして、応急処置しなきゃ』

家康はそう言って、桜奈と
近所の公園に向かった。
薄っすらと暗くなり始めた公園には
誰もいなかった。

『じゃ、俺、飲み物買ってくるよ
てきとうにどっか座ってて』と
言って自販機に向かう家康。

桜奈はどこに座って待とうかと
キョロキョロしたが、ブランコに
腰掛け待つことにした。

(はっー、自分が泣いてるのが
分かんないくらい、頭真っ白になって
たんだな私。でも、びっくりしたな
彼女どころか、婚約者がいるなんて。

まだ、19歳?になってるのかな?
それで、結婚の約束してる人がいるって
ことだもんね。そんなに好きな人が
いたんだ・・・ずっと付き合ってた人かな)

俯いたまま、少しだけブランコを揺らし
身を任せながら、考えていた。

すると、不意にブランコが止まり
『はい、これでもいい?』と家康が
缶コーヒーを差し出した。

桜奈はパッと見上げ
『ありがとうございます 』とにっこりしながら
缶コーヒーを受け取ったが、泣き腫らした
目は、痛々しく見えた。

家康も隣のブランコに腰掛け
自分の分のコーヒーを開けた。

桜奈は、貰った缶コーヒーで
目を冷やし始めた。
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