第8章 〜恋敵〜
『えっ?ああ、知ってたって言うか
その友達に、パンケーキ屋も隣の激辛カレーも
教えてもらった。バイトしてるから
食いに来いって。俺甘いもの苦手だから
姉貴に話したら、食べてみたいって言うから
あの日、連れて行ったんだよ』
『徳永さんて、二人姉弟なんですか?』と
すかさず詩織は尋ねた。
『いや、1番上に兄がいる。三人兄弟。』
『へぇ、お兄さんもいるんですか?』と
詩織は、桜奈を見たが、桜奈も
初めて聞きましたと言う顔をしていた。
(たくっ、この娘は・・・何も情報
とれてないじゃん!)頭を抱えそうに
なるのをぐっと堪え、質問を続けた。
『もしかして、お兄さんもお医者さんとか?』
と、医者一家は、皆医者と言う詩織の中の
謎理論を元に尋ねると
『うん、そう。今は小田総合病院で
働いてるよ』
『凄いですね、兄弟で揃ってお医者さんとか!
でも、小田総合病院なら近いですよね?
お兄さんも近くに住んでるんですか?
それなら桜奈んちじゃなくても
お兄さんのところでもよかったんじゃ?』
と、詩織は疑問に思った。
『もちろん、それも考えたけど
うちの兄は、超俺様な奴だから
こき使われて、振り回されて
勉強に支障が出そうでやめた』
と、兄を思い出しているのか
ウンザリと言う顔をした。
『あはは、そんなですか』
(どんだけ、俺様なんなだろう?見てみたい
気がするわ)と詩織は思った。
桜奈は、詩織の事情聴取スキルに
ただただ感心して、もっと家康の話を
引き出してくれることを期待しながら
聞き役に徹していた。