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また、恋してくれますか。

第8章 〜恋敵〜


家康には、表情にまで出ていた
自覚はなく、無意識だったが険しい顔で
二人を見つめる家康の視線に
詩織もまた、気づいていた。
(あーぁ、怖い顔しちゃって、徳永さんは
どこまで自分の気持ちを、自覚して
るんだろ?)

光成も、刺さるような視線から
家康が桜奈を少なからず
意識していることには気づいた。
(確かに、小野寺さんが言ってたみたいに
僕にとっては、ライバルなわけだ。
上杉さんは、どう思ってるんだろう?)

光成には、家康がどう思っているかより
桜奈がどう思っているかの方が
気になった。
付き合って欲しいと告白したつもりが
華麗にスルーされるくらい、鈍感な
桜奈のことだから

もし、家康に好意があったとしても
桜奈にその気がなければ
決して、発展はしていかないことは
光成自身が一番よくわかっている。

願わくば、桜奈の気持ちが
ピクリとも動いてないことを願っていた。
でも、その願いは儚く散る。

家康を時折、チラ見している桜奈の
瞳は、憧れとも愛おしいともつかない
あの、初めて桜奈を図書館で
見かけた時と、同じ表情をしていた。

いつもは、鈍感な光成も桜奈の
その表情で、桜奈がどう思っているか
気づいてしまった。

(参ったな・・・)問題に悩む振りをし
頭を抱えた、光成の切ない表情を
詩織は気付いた。

(あぁ、岩田君、気付いちゃったか。
流石に桜奈と同じくらい鈍感な
岩田君でも、今の桜奈見たら
誰でもわかるよね・・・顔に好きって
書いてあるくらい、ダダ漏れだもん)
と、詩織は、光成の片想いに同情した。
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