第8章 〜恋敵〜
『初めまして、桜奈さんの友達の
岩田光成と言います。今日は、宜しく
お願いします。医大生に勉強教えて
もらえるなんて、凄く助かります』
と、わざわざ、桜奈を下の名前で
呼び、クラスメイトと紹介されたにも
関わらず、友達と名乗った。
(へーっ、やるじゃん、岩田君。
早速、牽制しちゃって)と思う詩織。
(あっ、やっぱりクラスメイトじゃなく
友達って紹介するべきだったかな?
でも、初めて下の名前で呼ばれたな
いつも苗字呼びなのに)と、不思議がる桜奈。
一方、家康も
『どーも、徳永です。上杉さんちで
居候させてもらってるお礼に
家庭教師を引き受けてるだけなんで
教え方には自信ないですけど、宜しく』
と、家康も引きずられるように
同居してますアピールを何故か
してしまった。
(俺、何言ってんだ、わざわざそんな事
言う必要ないのに、何かイラッてして
つい口走ったな、マズったかも)と
桜奈に関する事になると
調子が狂い、いつもの淡々としている
自分ではないことを自覚しはじめていた。
(へぇー、わざわざ同居をアピール
するとは、これはますます、まんざらで
ないかも!同じ屋根の下は、やっぱり
親密度が自然とあがるのか?)と
一人、ニッコニコの詩織。
さっきまで、桜奈の為に自重し
慎重に行動しようと思っていたはず
たのに、気持ちは、三角関係ドラマを
見る視聴者気分でウキウキしていた。