第1章 〜幸せだった?〜
『家康様、大丈夫です。ただこの勝負に
もし私が勝ちましたら、私の一生に一度の
お願いをきいて下さいますか?』
『お願いって?何?』
『それは、私がこの勝負に勝てたなら
お話します』と少し悲しげだが
穏やかな笑みを浮かべた。
久々にみた桜奈の笑顔に
家康は、少しだけ安堵した。
(桜奈がお願いするなんて
あの、戦さ場に来た以来か?
あの時は、桜奈の意志の強さに
驚かされたな・・・危うく破談に
なりかけたっけ・・)
ほんの数年前の話なのに、懐かしさが
込み上げ、ふっと表情が柔らぐ家康。
『分かった。でも勝負は勝負だからね
俺、手加減はしないけど』と言う家康に
『そう来なくては!』と穏やかに微笑む
桜奈。
(///何年経っても、変わらず可愛いな
桜奈の笑顔は。もっと笑っていて欲しいよ
少しずつでいい、元気になってよ
信康を失った悲しみは消えないけど
俺は、桜奈さえいてくれたら
いくらでも頑張れるから・・・)
桜奈の微笑み一つで、悲しみに覆われていた
心に光が差すように感じる家康だった。