第26章 Criminal
食堂付き合えと陣平ちゃんに誘われて2人で肩を並べて歩いていく
「プリン買ってくれる?」
「しゃーねぇな…太るぞ…」
「酷い…これでも痩せたんだけど…」
「うわっ、ほっせ…ちゃんと食ってんのか?」
「ぼちぼち…」
そんな2人のやり取りをその場に残された佐藤さんとポカンとしながら見送った
「なんなの、あの子…」
「猛獣使い…もとい松田陣平使い?」
「松田くん専属でうちの課に来てくれないかしら…」
俺らの視線に気づいたちゃんは佐藤さんに向かって一礼をした
「じゃ、俺もこれで…」
まだポカンとしている佐藤さんを残して2人の後を追いかけた
食堂に売っているプリンを嬉しそうに食べるちゃん
ごちそうさまでしたと両手を合わせた
「昼、それだけか?」
「うん、デスクワークばっかりで疲れちゃったから糖分補給」
「げ、それだけで足りんの?」
「動かないからお腹すかないの」
だれか剣道手合わせしてくれないかな…とポソリと言う
陣平ちゃんは異動したばっかでバタバタだし、俺はこれから訓練あるしでお相手出来なかった
また今度ねと約束した所に青筋を立てた公安の人がちゃんの背後に立った
「さん、こんな所で油を売って…探しましたよ」
「げ、風見さん…」
「頼んでた資料どうなりました?」
「出来てます、昨日山積みされたもの全部」
ちゃんは言いつけられた仕事を全部片付けてこっちに来たらしい
ぐうの音も出ない程に反論されていたけど、まだまだ頼みたいことあるんですからとちゃんを半ば引きずって食堂を後にした
ちゃんはバイバイと手を振った
「ったく、ちゃんには素直だよねぇ、ほんと」
「見たか?あの窘め方…可愛すぎねぇ?怒られたって全然怖くなかったぞ」
思い出してクスクス笑っている
陣平ちゃんはまだちゃんの事が好きみたいだった
親友が熱をあげているし、応援したいから俺はもう諦めてる
陣平ちゃんでも諸伏でも、ちゃんがいつでも笑ってられるならそれでいいと思うことにした
あの1回の体の関係だけで満足だった
「ニヤニヤしてんなって」
肘で小突くてもまだ口元が緩んでいる
これは重症だと少くなった缶コーヒーを飲み干した