第12章 reconciliation
ちゃんに連絡を取り付けたのは交番勤務から本庁勤務に変わってバタバタしていたせいでだいぶ時間たっちゃったけど、この前の話の続きをしたくて呼び出した
「ごめんなさい、お待たせしました」
「ううん、そんなに待ってないから
走って来てくれたの?」
息を切らしているちゃんは寒さからなのか、走って来たからなのか少し顔が赤い
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「で、なんで諸伏と距離取ってたの?」
「その話でしたか…
陣平さんに言われたんです…他にも目を向けてみれば?って」
「ん?ちょっと待って…いろいろ突っ込みたい…
陣平さん?いつから名前呼び?俺の事も研二って呼んで♡
そんで、いつそんな話したの?」
「みんなでうちでご飯食べた日…」
コンビニ行くって消えた時か…ほんと油断も隙もない…
「で、離れてみての感想は?」
「誘われたら会ってみたんです、今までは好きな人がいるからって断ってたんですが…
でも実際会ってもヒロくんと零くん以外の男の子とあまり接してこなかったから、よくわからないってのが本音です」
「ちゃん、俺ともデートしよう」
「でも、忙しいんじゃ…陣平さんとWエースなんでしょ?まだ配属されて間もないのに爆発物処理班の双璧でWエースなんて凄いですよね」
「なんで知ってんの?」
「陣平さんから聞きましたよ」
あいつ、ほんと抜け目ない…
そう言われているのは確かだけど自分でWエースとか言っちゃうの…
「ちゃんとデート出来るなら時間いくらでも作るし、入校する前に1回はデートしようよ」
「……はい」
ちょっと赤くなってマフラーに顔を埋めながら小さく答えるちゃんがほんとにかわいく思えた
「クシュン」
「ごめん、寒い?」
ちゃんがくしゃみをするから思わず抱きしめて自分が着ていたコートの中に入れた
小さくて柔らかくて抱き心地がいい
ちょっと戸惑っている所もほんとに男慣れしてないんだろうなと思った
諸伏には恥ずかしがりもせず抱きついたり逆に抱きしめられたりしてるのに
諸伏はちゃんの特別なんだなと改めて思った
「ちゃん?」
ズルっと彼女の体から一瞬力が抜けた
倒れないように体を支える
明らかに様子がおかしい
額に手を当てるとものすごく熱かった