第98章 In the park of memories
さっき、研二さんにあんなこと言われた後だから妙に意識しちゃって…なんか気恥しい
「?聞いてる?」
「え、あ…ごめん…なに?」
「次、非番いつ?ゼロがさっき…好きな時に休み取っていいって言ったんだ
どういう風の吹き回しか、わかんねぇけど、どうせならと休み合わせてゆっくりしようかなって」
「えーとね…」
非番の日を伝えると、どこ行きたい?って提案された
「ヒロくんちでまったり映画鑑賞とか?」
「出かけないの?」
「疲れてるでしょ?人ごみの中を歩くよりヒロくんちでゆっくりしたい」
ヒロくんちなら寝坊助でも気にならない
一緒にいられるだけで幸せだもん
「でも、1つわがまま言っていい?」
「なんだ?」
ヒロくんのスーツの袖口をクイッと引っ張って屈んでもらう
背伸びをして
「前の日から一緒にいたい…」
と、告げた
「ほんと、反則…」
後頭部にヒロくんの手が周りポスンと彼の胸に収まった
ヒロくんの背中に腕を回してキュッと抱きつく
「あんまりかわいい事しないでくれよな…」
ヒロくんが照れてる時の癖が出ていた
「これ、渡そうと思ってたんだ…」
手に置かれたのは鍵
キーリングも一緒につけてくれてた
「ヒロくんこれ…」
「ガキっぽいって笑うか?俺とお揃い…なんだけど…」
「ううん、嬉しい!大事にするね」
ヒロくんが選んでくれたキーリング
革製で名前も刻印してくれて、オシャレでかわいい
「きっと遅くなっちゃうと思うからさ…それ使って入ってて、好きに寛いでくれてていいから」
「ご飯作って待ってる」
ワクワクして堪らなかった
呼び出されなくてもいいように、キッチリ仕事を片付けてヒロくんとのデートに備えた