第97章 Feelings
外に出るとすっかり真っ暗になってて、お腹もすいたし夕食を食べることにする
適当に選んだ洋食屋さんだったけど、すごく美味しかった
また来たいと思えるお店だった
「今日は誘ってくれてありがとう
すっごく楽しかった!」
「あぁ、俺も」
だんだんと元気がなくなっていく陣平さん
お店を出て昼間にきた公園にやってきた
昼間と違って人がいない
シンと静まり返った中にふたりきり
「今日、デートに誘ったのはなんでだと思う?」
飲み物を買ってきてくれた陣平さんは私に渡しながらそう言った
「わかんねぇよな…
想い出が、欲しかったんだ
と、楽しい想い出」
「ど、いう…こと?」
「解放してやるよ、を…
諸伏のこと好きなんだろ?
見てたらわかる…あいつのこと気にしてんのが…でも、は優しいから、俺の事気にして気持ちを押し込んでるなって感じた」
切なそうな顔で、陣平さんは気持ちを伝えてくれた
「俺に遠慮せずに、諸伏にぶつかってこい
を幸せにしてやりたかった
泣き虫で、でもどんな事も一生懸命やるお前が好きだった
支えたかったし、支えてもらいたかった
が傍にいてくれたらって…何度も思った」
ギュッと抱きしめられて、頭を撫でてくれた
陣平さんの鼓動や体温を感じる
「もし、万が一、諸伏に振られたら、それしたら俺が慰めてやる」
「陣平さん…ごめんね…私…いつも頼って甘えて…こんな事言わせちゃって…」
「俺がと一緒にいたかっただけだし、
元々お前は諸伏の事が好きで、俺が割って入ったんだ…だから、いいんだよ
でも、もうちょっとこのままでいさせろ」
ギューっときつく抱きしめられて、陣平さんが鼻を啜ったのもわかった
行けよ!
ポンと背中を押された
「振り向くなよ、振り向いたら今度こそお前の事諦めなきれなくなる
早く、行け」
陣平さんの優しさを踏みにじっちゃいけないと思った
いっぱい傷つけてごめんなさい
陣平さんがいたから助けられた事もたくさんあった
たくさんのありがとうを伝えたかった