第96章 Valentine
断り切れなかった
1度だけでいいから、一緒にお酒が飲みたいと言った彼女を
彼女と同僚の三池さんに先に出ると伝えて俺達はバーにやってきた
彼女は俺が復帰してからずっと憧れていたと言う
チョコレートを貰った時、よく知らない子だったから、本命かもと思った
「あの、違ったらほんと申し訳ないんだけど、もしも本命なら受け取れない」
傷つけたと思う
受け取ることで変に期待を持たせちゃいけないと思った
「じゃ、今夜の飲み会の後2人だけで飲みたいです。それで諦めますから、お願いします」
切実に頼んでくるから、断り切れなかった
ここで心を鬼にして断ってたら、彼女の事もの事も傷つけなかったのかな
バーを出てタクシー乗り場まで一緒に歩いた
達にばったり出くわすなんてな
彼女をタクシーに乗せ、きっと二次会をやってる松田達と合流しようと振り返ったら、達がいた
「ビックリ…した…」
「私達、美和子の家で飲み直すの
松田くん達もきっとあっちで飲んでると思うよ」
じゃぁねーと4人でタクシーに乗り込んでいく
目を合わせてくれなかった…
松田達に合流すると
2人で口を合わせて
「ばーか」と言われた
「ちゃんに見つかったんだ」
「上手くやれよな、その辺まじで不器用」
そんなに顔に出てたのか…
「誤解なんだけど…」
「が信じてくれるたらいいけどなー」
「ちゃん、思い込んで突っ走っちゃう所あるじゃん?」
「脅すなよ…」
「あいつ、なんとなくだけど今不安定だろ…
なんも話してくんねぇから、詳しくはわかんねぇけど…」
よく見てんだな…
の様子がおかしいのも気づいてんのか…
それからの松田の様子もおかしかった
心ここに在らずって言葉がぴったりハマる
早々に解散して、家に帰ってからも飲んだけど、ちっとも酔えない
酒の耐性なんかつけるんじゃなかった
こんな日は、酔っ払って眠りたかった