第96章 Valentine
だれだよ…2月14日にチョコレートを配ると決めたやつ
毎年うんざりしていた
義理チョコだの本命だの、どうでもいい
お返しが大変だし、量もそこそこあるから、誰から貰ったとかいちいち覚えてらんねぇ…
しかも、直接持ってこねぇで俺のデスクの上に置いてある
把握しきれねぇよ、全く…
「今年も凄いね、陣平さん…」
チョコレートの山をみたがぼそっと言う
「、持ってっていいぞ
とてもじゃないけど食べきれん…」
「乙女の気持ちを踏みにじっちゃいけないんだからね!」
誰からかわかんねぇのに踏みにじるもクソもあるか?
「そんなにあるなら…私のも食べきれないよね…」
「もくれるのか?」
「クッキーだけどね、いつものお世話になってるから」
「からのなら、貰う」
義理でもなんでもいい、がくれるなら喜んで貰う
「手づくり?」
「そうだよ、零くんには負けるから期待しないでね」
「美味いよ、絶対」
まだ食べてないじゃんとクスクス笑う
萩原と諸伏にも渡したそうだ
萩原は例年通り両手にいっぱいのチョコを抱えているし、諸伏のは、あれはきっとガチのやつだ
まんざらでもなさそうに照れていた
の顔を見ると、不安げな表情を浮かべている
「今日の飲み会何時からだっけ?」
「18時」
俺たちの同期が結婚する
言うなれば職場結婚で祝いの席が設けられた
俺たちの同期は同じ捜査一課でも参加する
「降谷はこれねぇってさ」
まぁ、そうだろうな…
交通課の子と結婚するから、捜査一課と交通課の飲み会みたいなもんだった
同じ教場だった、諸伏と萩原も参加する
佐藤に普段いつも一緒なんだから、たまには離れなさいとの隣の席を奪われる
と飲みたいって素直にいえばいいのに
行き場を無くした高木が俺の隣に座った
「お前も大変だな」
「ははは…」
萩原は女達に囲まれているし、諸伏はチョコを貰った相手に捕まっていた
ありゃ、相当惚れられてるな…