第95章 gimmicky box
家中の灯りをつけてはキッチンへと向かった
「コーヒー飲んでくー??」
寝室をよく観察するとベッドサイドのテーブルの上に病院で処方された薬が置かれていた
睡眠薬…?
「ヒロくん?」
返事をしない俺を迎えにきたは、俺が手にしていた薬の袋を慌てた様子で後ろ手に隠した
「寝れてないのか…?」
「なんでも、ない…ちょっとね…」
ほら、コーヒー入れたから飲んでいってと俺の背中を押す
「、誤魔化すな」
いくら夜だからってこんなに家中の灯りをつけるか?
おかしい…
「零くんには、言わないで…陣平さんや研二さん、赤井さんにも…
お願い…」
最近、寝付きが悪いので睡眠薬を処方してもらっていたこと
酒を飲んだ日や誰かと一緒なら眠れること
暗闇が怖くてしょうがないこと
そんなことをポツリポツリと話し出した
「なんで…言ってくれなかった?
1人で抱え込むな…」
「これ以上…心配かけたくなかったから」
ハッとした
と2人で飲んだ日、"最近、誰も泊まってくれない、寂しい"と呟いたのはもしかしたらSOSだったんじゃないかと…
朝方、ここを訪れた時も、部屋の灯りはついていた
だから、に声をかけられるまで家にいると思っていた
髪の毛で隠れて表情は見えないが、は泣いているみたいだった
久しぶりにを抱きしめた
力いっぱい
そうしないと、消えてなくてなってしまいそうだった