第95章 gimmicky box
「おや、眠ってしまったようですね」
座ったまま眠ってしまった彼女を横に寝かせてブランケットをかけた
寝顔はまだあどけなさが残るなと頬にかかっていた髪を耳にかけながら思った
口が微かに動く
読み取ると諸伏の名前を呼んだようだ
スマホを取り出し諸伏の番号をコールした
「お宅のお嬢さんがうちで眠っている
食べてもいいのなら、このままうちで泊まってもらうが…どうする?」
馬鹿野郎ふざけんなと怒鳴り声が聞こえて、諸伏は慌ててやってきた
少々意地悪な言い方をわざとした
「赤井…、に手だしてねぇよな?」
「他の男の名を呼ぶ女に、そんな気は起きない」
あからさまにホッとした表情をみせ、今度はみるみるうちに顔を真っ赤にして怒り出した
暗闇を怖がったこと、そんな疲れるようなことはしていないのに、ここで眠り込んでしまったことは、多少気になった
「彼女の様子、よく見てやれ」
「なにがだ?」
自分で考えろと助言だけして、諸伏達を見送った
車に眠ってしまったを運ぶ
よく眠ってる
疲れが取れてないのかと、呑気にこの時は思っていた
「、起きろ
家、着いたぞ」
起きそうだが起きなくてぼんやりしているを部屋まで連れていく
「鍵、開けるからな」
「んー」
覚醒してきたのか、自分の足で立った
扉を開けて寝室に入ろうとした時、慌てた様子で灯りをつけた
「驚かせるな…起きたなら……」
様子がおかしかった
灯りのスイッチの下で、座り込んで息遣いが荒かった
「ごめん、ヒロくん
迎えに来てくれたんだね…寝ちゃったんだね、私
寝ぼけてたみたい…」