第10章 date
陣平さんは車を走らせて海に連れてきてくれた
浜辺は人がたくさんいたので高台の方へ歩いて向かう
「足元気をつけろよ」
手を差し出してくれた、その手を取ると零くんともヒロくんとも違う感触
男らしい手だった
「ちっちぇ手…」
ポツリと言う陣平くんの手はキュッと力が込められた
「わぁー海面がキラキラしてて綺麗」
柵にもたれかかって輝く海を見ていたらお腹に陣平くんの腕が回って彼の方に引き寄せられた
「あんま乗り出すと危ねぇだろ」
「あ、ごめんなさい…」
「気をつけろ」
ポンと頭に手を置かれた
「なぁ、腹減らねぇか?」
「そう言えば少し…」
ここに来る途中にあった移動販売のカフェでハンバーガーを買う
「外で食べると余計に美味しく感じるね
でも、おっきいな…食べ切れるかな…」
「警察学校に入るんだったらそれくらい食べれねーとダメだぞ
体力もそうだけど、毎回男に合わせた食事の量なんだから…俺らの同期の女も苦労してるぞ」
松田さんは私の手首を掴んだ
「筋トレもしとけ…そんな細い手首、射撃訓練の時に折れちまいそうだし、二の腕もふにふに
まぁ、個人的にはこれくらいの方が好きだけどな」
私の二の腕を揉みながら松田さんは言う
顔が熱い…きっと赤くなってるんだろうな…
「赤くなった…かーわいー」
「からかわないでください」
「ホントのこと言ったまで、ほら冷めちまうぞ
食おうぜ」
陣平さんといると楽しいけどちょっとドキドキしてしまってちょっと戸惑う
ヒロくんと零くん以外の男の人と長時間一緒にいた事ないって事を思い知らされた
「よし、食ったし行くか」
「お腹いっぱいで苦しい…」
「いきなりたくさん食おうとするなよ
少しずつ慣らしていけばいいんだから」
「はーい」
それから少し浜辺をお散歩して遅くなるといけないからと帰路についた
「楽しかったー今日はありがとうございます」
「俺もいい気分転換になったし、気にするな」
マンションに着くとヒロくんと萩原さんが車の中で待っていた