第92章 Haro
「久しぶりに走ろうかな!」
ジャージに着替えて河川敷をランニングする
「やば…久しぶりだから…持久力落ちてる…」
ちょっと走ってきただけで、呼吸が苦しい
休もうと河川敷の斜面の芝生に寝転がった
風は冷たいけど、走ったあとだから気持ちいい
んーーー、と伸びをして目を閉じた
子犬の鳴き声で目を開けると
目の前いっぱいに私を見下ろすワンコの姿
「ビックリしたーー」
ふわふわで真っ白なかわいい子だった
「キミ、どこの子?ご主人様は?」
遠くから男の人の声がする
「ハロって呼んでる」
声のする方にピンッと耳を立てて
ここだよーと鳴いていた
「ハロ、逃げちゃダメじゃないか」
「え、零くん?!この子、零くんのワンコ?」
「そう、だよ」
「そっかー、きみハロって言うんだ、かわいいね
零くんがワンコ飼ってるなんて知らなかったなぁ」
ハロが飛びついてきてじゃれてくれる
「、その…ごめん…」
「なんで?!あの時のこと気にしてるなら、零くんは悪くないよ…」
それより、会えないって言われた方がキツかったと伝えた
「が辛いこと思い出すと思ったから」
「もう、大丈夫!気にしてない!」
私が笑うと零くんも笑いかけてくれた
「ねぇ、ハロの散歩いつもこの時間なの?」
「あ、あぁ…この時間か…深夜かな」
「また、ハロと遊びたいな」
「ハロもの事気に入ったみたいだ」
「ほんとー?嬉しい」
抱っこさせて欲しくて手を伸ばすと、大人しく抱かせてくれた
「ほんとかわいい!いい子だね、ハロは」
ぺろぺろと顔を舐めてくれる
童心に帰ってハロと遊んだ
「あー、ハロのおかげで久しぶりにこんなに笑った気がする」
「は動物好きだもんな」
「でも、お母さんが苦手で、ずっとアパート暮らしだったし、縁がなかったんだよね」
「時々、預かってくれないか?
家を開けることも多いし、ハロ、寂しそうなんだ」
「いいの?」
「そうして貰えると助かる
風見にも頼んでるんだが、彼も彼で忙しい」
「じゃ、風見さんがダメな時言ってね」
また、ハロとこうして遊ぶことができると思うと嬉しかった
「の顔、見られてよかったよ」
「私も」
気になってた零くんと会えて、少し気分が晴れた