第90章 Master
みんなのこと、怖くはないんだけどなぁ…
抱きしめられたいわけじゃないんだけど…気を使わせてるのは悪いなぁと思う
そんなことを考えているとまた沖矢さんの体温を感じる
「ほら、こんなに身体こわばらせて…
あなたを怖がらせたたくないと…
拒絶されていると錯覚してしまう」
「……」
「おや、泣かせるつもりはなかったんですが…」
知らず知らずのうちにまた、みんなを傷つけていたのか…
ごめんなさい…
ごめんなさい!
沖矢さんの胸に抱かれながら泣いて泣いて泣き倒した
怖かった…
最近起こったこと全て
沖矢さんの前だと、全部見透かされている気がする
「泣いてるあなたも魅力的ですが、私はやはりあなたの笑顔が最も魅力的だと思いますよ」
指先で涙を拭いてくれて、ふんわりと微笑む
中身が赤井さんだと、一瞬忘れていた
「笑うなんて酷くありませんか?」
「ごめんなさい、でも、赤井さんなら絶対言わないなと思ったら…つい…」
変声機をオフにして声だけ赤井さんに戻る
「俺なら、泣くなとしか言ってやれない」
ポンと頭に置かれた手は沖矢さんでも赤井さんでもやっぱり暖かかった